シャドバ1人回しアプリをつくった
こんにちは。tdTomato(@tdTomato628)です。
本記事はsvアドカレ2021の12日昼の部の記事になります。
今月は毎日記事がアップされるので要チェック! 昼の部 夜の部
作成したシャドバ1人回しアプリの作成動機と実装についての自分語りをしていきます。
どんなアプリ?
アプリはこちら → シャドバシミュレーター Shadowverse Simulator
簡単に説明すると、シャドバに実装されているカードを自由に追加し、ドラッグアンドドロップでゲームをシミュレーションできるアプリです。
作成動機
シャドバのリプレイがつらい
みなさん、リプレイ機能使ってますか?
競技志向の方はしっかりリプレイを見返し、チームメイトなんかと一緒に択の検討を行っているかと思います。
しかし、リプレイは単純に過去の対戦内容をなぞるだけなので、以前から限界を感じていました。
- 相手の手札、デッキ内容が見えない
- 手戻りができない
- 別択の操作が不可能
「このターン他にどういう動きができるだろう」とか、「その場合相手はどう動くか」とか、そういった情報は脳内or言葉のみにならざるを得ません。
もちろんテキストベースで議論を進めるのもいいのですが、あいにく私の脳の出来は良くなくて2手3手先になると「あれ、いまどういう状況だ」となるため、できれば視覚的に択の検討を行いたいわけです。
紙でのシャドバ、無理
じゃあ紙でシャドバしよう!
そう思い立ったが最後、あまりのトークンカードの量にあなたは発狂し何か訳の分らぬことを叫びつつ闇の中へ駆け出し虎になります。
TCGは物理的制約があるためかトークンカードは少ない傾向にあります。
また、トークンは単純な効果だったり、カードとは別の存在として扱われる場合が多いです。
一方シャドバには、トークンとして別のカードを加える効果を持つカードが非常に多く存在します。
特にデッキや手札にトークンを加える効果はDCGならではといっていいでしょう。
さらにカードそのものが分身したり変身したりと忙しく、アナログで再現すると紙とインクの消費がすごいことになります。
そのためデジタルかつアナログカードのように自由度の高い操作ができるシャドバのサポートツールが欲しいと思い、本アプリを作成した次第です。
1人回しは楽しい
いわゆる1人回しは、2つのデッキを1人で操作することを指します。
多くのTCGプレイヤーが調整のために取り入れており、デッキの勝ち筋やゲームの大局観を認識するために有効な練習方法の1つです。
私にはカードゲーム仲間がほとんどおらず、小学生で遊戯王に触れてからシャドバに出会うまでの約10年間は、図らずとも1人回しばかりやっていました。
孤独でしたが、2つの手札と盤面をいききしてあれやこれやと考えるのはとても楽しかった記憶があります。
ポケカや遊戯王、MTGなどではデジタル1人回しツールが有志によって作成・提供されています。
ハースストーンやシャドバのようなDCGは対戦相手に困ることが少ないせいか、(私が知る限り)1人回しツールはみあたりませんでした。
大好きなシャドバで、ゆったり1人でデッキを回す時間が叶えばなあというのも作成動機のひとつです。
こだわったポイント
できるだけ使いやすく
当初は手札・盤面の枚数やターンまで厳密に管理することを考えていましたが、そのぶん操作の自由度が減ることを懸念しました。
あまりシャドバのルールに縛られず、シンプルかつ自由度を高くを目指して作成しています。
また、前述のように手動でゲームを再現する際、トークンカードの存在がネックになっていました。
なので今回のアプリでは、トークンカードをすぐに追加できる機能を実装しています。
ドラッグアンドドロップ操作
紙のカードをわちゃわちゃ触っている感じを再現したくて、ボタンではなくドラッグアンドドロップによる操作にしました。
アナログとデジタルの乖離をできる限り小さするため、基本的にマウス操作で完結するようにしています。
ガルラ様
盤面にガルラ様のカード3種いずれかを追加すると、コンソールにガルラ様が降臨します。
実装について
環境
React 17.0.2
Typescript 4.5.2
Hosting: Vercel
ドラッグアンドドロップ操作にはReact DnD、CSSライブラリはmaterial-uiを採用しています。
特にreact-dndは利用場面が多そうなので今回をきっかけに学習できてよかったです。
余談ですがReactのロゴってシャドバのロゴに似てますよね。
作ってみた感想
パラメータありすぎ。この一言に尽きます。
「最大体力」「進化回数」「プレイ枚数」「ネクロマンスの合計」「破壊されたアーティファクトの数」……などなど、とてもじゃないですがすべてのカウンターを用意したら画面が埋まってしまうので、今回切り捨てました。
また、一見くくりが同じでもイコールでないパラメータも多く存在することを実感しました。
例えばネクロマンサーにみられるように「破壊されたカードの枚数」と「墓地の数」は別々ですし、エルフの「プレイ枚数」は「プレイしたカードの枚数」ではありません。
新しい弾が追加されるほど私達が意識すべきパラメータはどんどん増えており、要求される思考リソースは上がる一方ですね。
最後に
今後の機能追加
守護・必殺などの能力表示はやりたいと思いつつ、カードの見た目が混み合いそうでどこまでやるか悩んでいます(気が向いたらやりそう)。
英語対応も需要あればやる予定です。
他バグ報告や機能追加要望等あればTwitterまでご連絡ください。
Cygamesに怒られたらすぐ削除します。
謝辞
開発中意見をくれたり、想定外の使い方をしてくださりやがった友人たちに格別の感謝を。
シャドバシミュレータ操作方法
シャドバシミュレータ
アプリ → シャドバシミュレーター Shadowverse Simulator
作成経緯 → シャドバ1人回しアプリをつくった - お昼休みシャドバァ
画面
① 盤面
カードをドラッグ&ドロップで自由に配置できます。
② カード検索
カードを検索し盤面に追加することができます。
③ 墓場
カードをドロップすると、盤面からカードが削除され、墓場が+1されます。
クリックすると破壊されたカード一覧を開くことができます(後述)。
④ デッキ
カードをドロップすると、デッキにカードが追加されます。
クリックするとデッキリストを開くことができます(後述)。
⑤ ドローボタン
デッキにカードがある場合、その中からランダムなカードが1枚盤面に追加されます。
⑥ 消滅
カードをドロップすると、カードが盤面から削除されます。
墓場は増えません。
⑦ プレイヤーカウンター
プレイヤーの体力、EP、墓場の数のカウンターです。
⑧ ゲームカウンター
PP、ターン数のカウンターです。
⑨ リセットボタン
盤面、デッキ、破壊されたカード、各カウンターがリセットされます。
デッキコードからデッキを取得していた場合は、そのデッキの初期状態になります。
⑩ 盤面削除ボタン
盤面のカードをすべて削除します。
⑪ サイコロ
好きな数の範囲でランダムな数を取得できます。
デッキリスト
デッキ一覧です。自分と相手の2つのデッキそれぞれを管理することができます。
① デッキコード
デッキコードを用いてデッキ追加することができます。
② デッキリセット
デッキコードからデッキを取得している場合、デッキの初期状態に戻すことができます。
③ カード一覧
カード名をクリックすると、デッキから盤面にカードが追加されます。
破壊カードリスト
破壊されたカード一覧です。
①カード一覧
カード名をクリックすると、リストから盤面にカードが追加されます。
カード
カードをダブルクリックすると、編集画面が開きます。
① カード情報
カード情報を編集することができます。
更新を押すと反映されます。
② 関連カード トークンなどがある場合は、盤面または各デッキにそのカードを追加することができます。
③ 進化
攻撃力・体力を進化時のものに一括で変更できます。
計算式は「現在の攻撃力 + (進化時の攻撃力 - デフォルトの攻撃力)」です。
ショートカット
編集画面を開かずにカードのスタッツを変更したり、カードを削除したりできます。
カードをクリックすると選択(黄色い)状態になります。
選択状態で、次のコマンドで操作が可能です。
カードを削除する(消滅) → 「Backspaceキー」
コストを1上げる → 「Fキー + 上キー」または「Fキー+Wキー」
コストを1下げる → 「Fキー + 下キー」または「Fキー+Sキー」
攻撃を1上げる → 「Aキー + 上キー」または「Aキー+Wキー」
攻撃を1下げる → 「Aキー + 下キー」または「Aキー+Sキー」
体力を1上げる → 「Dキー + 上キー」または「Dキー+Wキー」
体力を1下げる → 「Dキー + 下キー」または「Dキー+Sキー」
カウントダウンを1上げる → 「Cキー + 上キー」または「Cキー+Wキー」
カウントダウンを1下げる → 「Cキー + 下キー」または「Cキー+Sキー」
進化する(進化時の攻撃力・体力ぶんを増加させる)→ 「Eキー」
知ってても得しないシャドバ豆知識〜どばすぽのURL〜
Shadowverse Portal(どばすぽ)のURLクソ長いなって思ったことありませんか?私はあります。
趣味でJCGのデッキリストをクローリングしているので、よくこのURLを目にしては、どんな作りになってるのか考えたりします。
今日はどばすぽの無駄知識について紹介しようと思います。
どばすぽのURL見ればデッキ内容がわかる
割と有名な話。
よく見なくても、同じ5つの文字列が3回反復しているのでなんとなく分かる人も多いんじゃないでしょうか。
JCGデッキリストをクリックすると飛ばされる、デッキ編集画面を例に見てみましょう
URLの5桁の英数字は、左から順に、デッキリストのカード降順に対応しており、その枚数は文字列の反復回数で表されています。
例えば最初の「5-gkQ」は知恵の光で、「5-gkQ.5-gkQ.5-gkQ.」は知恵の光が3枚あることを示しています。
もっと詳しく説明するとこんな感じです。
クラスはエルフ、ロイヤル、ウィッチ、ドラゴン、ネクロマンサー、ヴァンパイア、ビショップ、ネメシスの順に1〜8が振られています。
ということで、JCGのサイトからわざわざ飛ばなくても、デッキ内容を収集することができるのでした。ちゃんちゃん。
ちゃんちゃんじゃない
「5-gkQ」が知恵の光だってすぐに分かったら苦労しません。
この5桁の英数字に対応するカードが何か調べるためには、少なくとも一回、どばすぽに飛んでデッキリストのカード名と対応させる必要があります。
理由は省きますが、これが非常に面倒くさい。
オルトロスとスカルリングがナーフされたときはデッキ編成画面での順番とURLの順番が対応していないバグがあり、手作業で直す必要がありました。
なのでどうにかならないもんかと考えました。
そもそもどうやってあの英数字を生成しているのだろうか……。
わかった
研究室でサーターアンダギーを食べていたら思いつきました。
まずURL見ていただくと、5あるいは6から始まるものしかないことに気がついていただけるかと思います。
そして、どばすぽのカード説明のページを見ていただきましょう。
URLの部分にカード独自のIDと思われる9桁の数字があります。
知恵の光は「100314010」です。ちなみに烈風の翼神・ガルラは「109741020」です。
9桁の数字は大体の値の大きさが同じ。5桁の英数字は開始数字がほとんど同じ。
ときたら、真っ先に思い浮かぶのが進数変換ですね。
とりあえず36進数まで変換できるツールがあったのでぶっこんでみました。
知恵の光 10進数「100314010」→36進数「1NQ2SA」
おお、それっぽい。
使われている文字列から「0〜9」「A〜Z」「a〜z」「-」、「_」の計64文字が使われてそうなので、安直にこの順番で64進数に変換しました。
知恵の光 9桁の数字「100314010」 5桁の英数字「5-gkQ」
9桁の数字を64進数に変換します。
ビンゴ!!!
これで新パック追加ごとにまとめて対応表をつくることができるようになりました。
めでたしめでたし。
知恵の光論争を検証してみた
知恵の光をマリガンでキープするべきかどうかーー。
超越ウィッチというアーキタイプが誕生して以来、度々勃発するこの「知恵の光論争」。
本記事は確率計算が面倒なのでスペルマナリアのシミュレーターをPythonを用いて作成し、知恵の光キープが果たして正解かどうかを個人的に評価したものである。
検証にあたっての前提知識
スペルマナリアウィッチ
ミラやアンといったコストダウンする(本記事ではマナリアブーストって呼びます)強力なマナリアカードを主軸とし、従来の除去とドローに優れたスペルブーストギミックを組み込んだアーキタイプ。
ALTローテーション環境においてこのデッキの勝ち筋は
- アンの大魔法による10ターン目に大ダメージを叩き込む
- ミラ、アンを横並べし、マナリアの秘術や真実の狂信者も併せてフォロワーで削りきる
の2通り。
知恵の光論争
スペルマナリアのマリガンにおいて、「知恵の光」が初期ハンドにきた場合、マリガンでキープするかどうか?という議論。すでに論争は鎮火していて、「知恵の光より構築の検討」とか「結局プレイング」、「ナーフ後の話をしろ」など、ごもっともな意見が散見される。
Twitterをざっとみた限りではキープ派、キープしない派の数は同程度の印象。
ドローの確率表などを出してくださっている方はいらっしゃるのですが、結局知恵の光をキープする(しない)ことによって大局はどのように変化するのかは分かりづらく、プレイヤー各自の経験と知恵によって判断されています。
なので今回は実際にスペルマナリアデッキを回すコードを書いて、知恵の光論争に自分なりの答えを出そうと考えた次第です。
シミュレーター
用いるデッキ
この記事は勝てるマナリアデッキを作ることより検証してみることに主眼を置いているので、構築の是非についてはあまり触れないでいただけると助かります。
勝てるデッキは有識者の方々が紹介してくださっているのでそちらを参考にお願いします。
評価軸
前述の通り、スペルマナリアデッキはフィニッシュに「アンの大魔法」を据えたデッキですが、運命の導きなどの強力なスペルブーストカードによってマナリアカード、顔面打点につながる「真実の狂信者」のプレイ枚数も大きく変わってきます。
故に評価点を1つに絞ることは難しいと判断し、以下の複数項目を測定しました。
9ターン目終了時における
- プレイしたマナリアカードの枚数
- スペルブースト数の合計
- マナリアブースト数の合計
- アンをプレイできているか(0/1)
コード
GitHub
私はプログラミング一年生です。多目にみてください。
簡単に説明すると、
【初期ハンド】
ランダム群は完全ランダム。
知恵キープ群は「知恵の光」1枚確定+39枚からランダム。
知恵キープしない群は「知恵の光」1枚をのぞいた39枚からランダム(マリガンで返したと想定)。
【カード能力】
マナリアの知識、ミラ、ティコはプレイ時に2コストのタイプ:マナリアのスペルを手札に加えるとする。ミラやグレア、エレノアなどの進化時に手札に加わるスペルは無いものとする。
【進行】
コストの小さいものからソートし、ドローカードを優先して、PPいっぱいになるまでプレイする。知恵の光キープ群は1ターン目に確実に知恵の光を打つことになる。
手札は最大9枚で、9枚の状態で加わったカードは燃える。
握撃やウインドブラストは対面を考えずいつでも打つことができ、盤面は無限とする。
【試行数】
各群10000回ずつ
結果
先攻
プレイしたマナリアカード数 | スペルブースト合計回数 | マナリアブースト合計回数 | アンをプレイできた割合 | |
---|---|---|---|---|
ランダム | 10.95 | 26.80 | 12.62 | 0.77 |
知恵キープ | 10.97 | 27.30 | 12.77 | 0.77 |
知恵返し | 11.01 | 26.28 | 12.50 | 0.77 |
後攻
プレイしたマナリアカード数 | スペルブースト合計回数 | マナリアブースト合計回数 | アンをプレイできた割合 | |
---|---|---|---|---|
ランダム | 11.72 | 31.23 | 14.54 | 0.81 |
知恵キープ | 11.67 | 31.77 | 14.50 | 0.80 |
知恵返し | 11.72 | 30.59 | 14.29 | 0.81 |
誤差って言われたらそれまでなくらい、微小な差ですね……。
あえて結果を述べてみますと、
- 知恵の光を返すとマナリアカードを引っ張ってこれるので、マナリアカードのプレイ枚数は多い。
- 知恵の光をキープしたほうがスペルブーストできる回数が多い。
- ミラやアンといった重要なマナリアカードをよりコストダウンできているのは知恵の光をキープした方。
- どの群もアンをプレイできる確率は大差ない。
結論
差はわずかだが、知恵の光をキープしたほうが良い
多分。
おまけ:ミラのナーフはどれくらい影響あるのか
せっかくなので、ミラが7コスになったらどれくらい値が変わるかを見てみました。マリガンは完全ランダム。
先攻
プレイしたマナリアカード数 | スペルブースト合計回数 | マナリアブースト合計回数 | アンをプレイできた割合 | |
---|---|---|---|---|
ナーフ前 | 10.95 | 26.80 | 12.62 | 0.77 |
ナーフ後 | 10.88 | 26.16 | 13.45 | 0.77 |
後攻
プレイしたマナリアカード数 | スペルブースト合計回数 | マナリアブースト合計回数 | アンをプレイできた割合 | |
---|---|---|---|---|
ナーフ前 | 11.72 | 31.23 | 14.54 | 0.81 |
ナーフ後 | 11.59 | 30.75 | 15.23 | 0.80 |
マナリアブースト数が高くなってるのはミラがコストアップしたのでブーストされる回数が多くなったからです。 無視してください。
マナリアカードのプレイ回数とスペルブースト数が気持ち減ってます。このプログラムは進化を考慮しておらず、「マナリアの秘術」という大きなポイントが抜けており、この数値以上に影響は大きいと思います。
ナーフ後はスペルブーストがしづらくなるので、よりマナリアカードに寄せたデッキが主流になりそうだなと予想してます。
コメント
3連休が終わってた。
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数字から見る「現環境で一番強いBO3の組み合わせ」
BO3の基礎すっとばしてOKって方は「最強のBO3は?」からどうぞ
そもそもBO3とは
ShadowverseでのBest of 3 (BO3)とは、2つの異なるクラスのデッキを1デッキずつ用意し、先に2勝したプレイヤーが勝利する試合形式である。ただし、1度勝利したデッキはその試合中使用不可となる。
RAGEを始め、JCGやRatingsなど多くの大会でBO3形式が採用されている。
2デッキ両方で勝たなければならないため、構築力・プレイングスキルだけでなく、環境を読む力やストラテジーが問われるフォーマットだ。
プレイヤーたちは、ゲーム環境と自分のデッキを見比べながら、大なり小なり「どの2デッキを選ぼうか」と頭を悩ませることになる。
本記事は純粋な「勝率」から強いデッキの組み合わせを探っていったものである。デッキ選択に関してのひとつの知見になれば幸いだ。
手始めにBO3の勝率について、ジャンケンを例に考えていこう。
Shadowverseはしばしばジャンケンに例えられる
例えば、自分が「グー」と「パー」の2デッキを持ち込み、相手が「チョキ」と「チョキ」を持ち込んだとする。
「グー」は必ず「チョキ」に勝てるので1勝は確定しているが、「パー」は「チョキ」に絶対勝てないので、1-2で負けることが確定している。つまりBO3の勝率は0%である。
一見、トータルの勝率は各勝率の平均(= 50%)に思われるが、BO3の「必ず各デッキ1勝しなければいけない」という特性上、平均にならないことに注意してもらいたい。
BO3の勝率の求め方
BO3での勝率(W)は以下の式で算出することができる。
デッキA、BがデッキC、Dに対して勝つ確率をそれぞれPA,C PA,D PB,C PB,Dとし、デッキの出し順は完全にランダムとする。
先程のジャンケンではPB,CとPB,Dが0であるため、W = 0になることが簡単にわかる。
この式を使って、「パー」が「チョキ」に20%勝てる場合のBO3の勝率を求めるとこうなる。
ね、簡単でしょ
デッキの組み合わせが勝率を左右する
BO3では特定のデッキを2タテする構成が強いといわれる。
これは先程のジャンケンの例からもわかるように、両方のデッキが勝ち抜けることがBO3の勝利条件であるため、メタを一致させることで相手の片方のデッキを確実にカモることができるからだ。
逆に2デッキでメタ対象をずらすと、目的としていたマッチアップを逃し、メタ対象に勝ち抜けされてしまう恐れがでてしまう。
例えば、相手のデッキに対してそれぞれ70%、30%の勝率をもつデッキを使用する場合、そのメタ対象を一致させることによってBO3の勝率を跳ね上げることができる。
ちなみに、右の図は完全ミラーマッチの例でもある。
完全ミラーマッチの場合BO3の勝率は50%になり、出し順も影響しない。
デッキ単体の勝率はもちろん、2つのデッキをどう選ぶかもBO3の勝率を上げる上で非常に大切な要因だ。
最強のBO3は?
以上より、単体勝率からBO3の勝率が求められること、そしてデッキの組み合わせ自体がBO3の勝率に大きく影響することがわかっていただけたと思う。
各クラス単位の勝率はShadowverse Logなどのサイトで公開されているが、残念なことに、私はBO3単位の勝率ランキングを見つけることができなかった。
なので今回は自分でそのランキングを作ろうと思う。
BO3のリーダーの組み合わせは 8C2 = 28通りある。
28通り×28通りのマッチアップの勝率をすべて調べ、トータルのBO3勝率が一番高い組み合わせを求めることで、現環境最強の2デッキがわかるはずだ。多分。
方法① とりあえず求めてみる
シャドログのローテーションにおけるクラス単体勝率から、BO3における28×28通りのマッチアップの勝率を求め、各BO3の組み合わせごとに勝率の平均を求めた。
デッキ勝率参考:
Shadowverse Log 2018年10月29日 ~ 2018年11月04日 対戦解析ログ
スプレッドシートにもまとめました。
結果①
勝率の上位5つの組み合わせは以下のようになった。※生データはページの最後
1位 ロイヤル&ネクロマンサー 勝率 59.37%
2位 ネクロマンサー&ヴァンパイア 勝率 58.57%
3位 ドラゴン&ネクロマンサー 勝率58.15%
4位 ネクロマンサー&ビショップ 勝率54.89%
5位 ロイヤル&ヴァンパイア 勝率54.34%
方法② 環境に合わせて重み付けをする
方法①では単純に各マッチアップの勝率の平均を求めた。
しかし、現実の環境ではすべての組み合わせが一律に使われるわけではなく、使われるクラスと使われないクラスが出てくる。
そういった状況を考慮するために、使用率の高低によって勝率に重み付けをし、その合計勝率を求めた。
使用率は直近の11月4日のJCG予選のデータを用いて算出した。
なんと、ネクロマンサー&ヴァンパイアの使用率が39.84%だった。3人に1人はネクヴ。
結果②
勝率の上位5つの組み合わせは以下のようになった。
1位 ロイヤル&ネクロマンサー 勝率 55.87%
2位 ドラゴン&ネクロマンサー 勝率 53.04%
3位 ネクロマンサー&ヴァンパイア 勝率 52.81%
4位 ロイヤル&ドラゴン 勝率 50.87%
5位 ロイヤル&ヴァンパイア 勝率50.65%
結果を眺める
クラス単位での勝率を見てもらえるとわかるが、ネクロマンサーが全クラスに勝ち越しているので上位の片デッキがネクロマンサーになるのは予想通りであった。
ロイネクが1位であるのは、ロイヤルが使用率の高いヴァンパイアに対して有利がついているからであろう。
次点でドラゴンが選ばれているのは、ネクロマンサーの相方に意外と多かったロイヤルやビショップに有利がついていたからだと考えられる。
ネクヴが結果①では2位だったのに対して、結果②では3位に下っている。これは対面にネクヴが多すぎるため勝率が50%に収束していったからだ。
わかりやすいのが、結果①で4位(勝率54.89%)、結果②では 9位(勝率47.13%)まで大幅に下ったネクビショだ。
ビショップがネクロマンサーとヴァンパイア両方にクラス勝率が40%割るほど致命的に弱いため、ビショップの選択がこの環境では厳しいことがよくわかる。今BO3でビショップを持っていったら2タテの的になるということだ。
コメント
今回の結果で注意していただきたいのは、クラスごとの勝率に使用したShadowverse Logのデータは10月29日〜11月4日のもので、ナーフ前の集計結果を含んでいます(ナーフは10月30日)。
ロイヤルの勝率が現状より高くなっている可能性があるので、くれぐれもこの結果を鵜呑みにしないでください。あくまでBO3勝率算出の試みということで。
また、今回はアーキタイプ別の細かい解析を行っていません。というのも、Shadowverse Logのアーキタイプ別勝率の精度があまり良くないことと、JCGの使用デッキアーキタイプの判定を行っていないからです(早めに実装したい)。後々ここらへんも改善していければなあと思います。
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生データ
重み付けがない場合
Rank | Leader1 | Leader2 | Win percent (%) |
---|---|---|---|
1 | Sword | Shadow | 59.37 |
2 | Shadow | Blood | 58.57 |
3 | Dragon | Shadow | 58.15 |
4 | Shadow | Haven | 54.89 |
5 | Sword | Blood | 54.34 |
6 | Rune | Shadow | 54.27 |
7 | Sword | Dragon | 54.09 |
8 | Forest | Shadow | 53.48 |
9 | Dragon | Blood | 53.18 |
10 | Sword | Haven | 50.83 |
11 | Blood | Haven | 50.36 |
12 | Sword | Rune | 50.34 |
13 | Shadow | Portal | 49.96 |
14 | Dragon | Haven | 49.94 |
15 | Forest | Sword | 49.82 |
16 | Rune | Blood | 49.62 |
17 | Rune | Dragon | 49.52 |
18 | Forest | Blood | 48.92 |
19 | Forest | Dragon | 48.56 |
20 | Rune | Haven | 46.67 |
21 | Sword | Portal | 46.34 |
22 | Forest | Haven | 45.65 |
23 | Blood | Portal | 45.63 |
24 | Dragon | Portal | 45.43 |
25 | Forest | Rune | 45.21 |
26 | Haven | Portal | 42.82 |
27 | Rune | Portal | 42.43 |
28 | Forest | Portal | 41.62 |
デッキ流流行度で重み付けした場合
Rank | Leader1 | Leader2 | Win Percent (%) |
---|---|---|---|
1 | Sword | Shadow | 55.87 |
2 | Dragon | Shadow | 53.04 |
3 | Shadow | Blood | 52.81 |
4 | Sword | Dragon | 50.87 |
5 | Sword | Blood | 50.65 |
6 | Forest | Shadow | 50.47 |
7 | Forest | Sword | 48.65 |
8 | Dragon | Blood | 48.06 |
9 | Shadow | Haven | 47.13 |
10 | Rune | Shadow | 46.55 |
11 | Forest | Blood | 45.72 |
12 | Forest | Dragon | 45.72 |
13 | Sword | Haven | 45.06 |
14 | Sword | Rune | 44.53 |
15 | Shadow | Portal | 43.63 |
16 | Dragon | Haven | 43.04 |
17 | Blood | Haven | 42.80 |
18 | Rune | Dragon | 42.53 |
19 | Rune | Blood | 42.19 |
20 | Sword | Portal | 41.82 |
21 | Forest | Haven | 40.49 |
22 | Forest | Rune | 40.05 |
23 | Dragon | Portal | 39.69 |
24 | Blood | Portal | 39.51 |
25 | Rune | Haven | 37.82 |
26 | Forest | Portal | 37.69 |
27 | Haven | Portal | 35.26 |
28 | Rune | Portal | 34.90 |